読字障害の子の親御さんにうまくいった勉強方法について聞いてみました。
- 【性別】男
- 【学年】大学4年生
- 【診断名】LD(読字障害)
- 【診断された時期】中学2年生
読字障害のお子さんの特徴
音読が苦手。小学生の時はいくら練習しても、読みの速さは向上せず、授業中に当てられると泣いてしまっていた。
書くことについては、平仮名、カタカナの習得が遅く、漢字に関してはとくにそれが酷いです。
反復では覚えられず、膨大な時間をかけて習得したとしても、あっという間に忘れてしまいます。
右脳優位なので、立体物を頭の中で好きなよう回転、移動させてイメージできる。
その長所は大学に入ったあとその能力が工学の研究にいかされ、現在は博士号取得のための論文を執筆中です。
勉強に一番困ったのは、高校、大学受験で、部活を頑張りAO入試で乗り切りました。
反復学習で失敗した勉強方法
文字の反復学習はまるで効果なしでした。テストに関しては丸暗記で乗り切ろうとしましたが逆効果。
頭の中で混乱を起こす原因になりました。テストの結果につながらなくても、理解を深めるような学習方法で試したものの方が後に役立っています。
数学に関しても、文字式や公式を暗記させるようなやり方は、効果がありませんでした。
右脳優位の子は本来は数学について興味をもっていますし理解が深いです。
ですが、くもんのようなやみくもに計算を繰り返させるような学習をさせてしまうと、数学が嫌いなり、芽を摘むことになりかねません。
読字障害の子にうまくいった勉強方法
主要5教科に関しては、小中高、いろいろな学習方法を試してみましたが、どういった勉強法も合わずテストの点数には反映されませんでした。
小さいころから、レゴを使ったブロック遊びを好んだので、それは本人が望むだけ与えました。
レゴブロックには、年齢に合わせた様々なレベルのものが用意されており、一番難易度の高いものになると、作ったロボット作品にプログラミングを入力し、コンピューター制御で動かすことができます。
そういったことを通して、工学的なセンスやプログラミング技術を磨き、論理的、数学的な思考を培ったのではないかと思います。
中高でおこなわれるような数学の計算は苦手ですが、数学の世界をみるような大学数学はなぜか得意です。
うまくいった理由
右脳優位、視覚優位だということに早くに気づき、その優位性を生かせるようなことに対しては、ふんだんに材料やチャンスを与えたことだと思います。
絵も好きなので、芸術関係への進学もよいかと考えたのですが、本人の様子を見ると、形あるものを作るというより、作ったものを実際に動かすことの方に興味を持ち熱中していたので、そちらの方面に伸ばすためにはどうしたらよいかを特に考えました。
高校、大学ではロボット制作をする部活に所属して、学業をそっちのけだったのですが、好きなようにさせました。
結果、独学で苦手分野についても習得するようになりました。
読字障害の子を持つ親御さんにメッセージ
日本の受験方式では、まだ読み書きのできない子への対応が未熟で、その能力をはかれない状況にあります。
一番いけないのは、受験のストレスで本人の才能さえも折ってしまうことです。
出来ましたら、早めに一般的な受験ではなくAOなどといった方式を採用する学校への進学を考えるのが賢明です。
学習障害のあるタイプは能力の一部が突出していることが多いのでそれを見極めて、それだけをのばすことに時間をかけることもよいかと思います。